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パノラマ画像の作成について覚書

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デジカメの買い換えに当たり、HDRI制作まで視野に入れての選定のため、パノラマ作成についていろいろ調べてみたが、結構奥が深いのと、日本にも愛好者が多いことにびっくりした。

ざっくり調べてみたところ、次のサイトを見ると最近のパノラマやQuickTime VRの動向を知ることができる。海外にもいろいろあるけど、この3つのサイトが分かりやすくて、情報が豊富。
netOven

Panorama Journey


QTVR Dairy

で、機材は何を使っているかという点では、多いのがNikonD70+SIGMA8mm、Nikon D70 + Nikon 10.5mm、EOS+Sigma 8mmという組み合わせ。比較的新しい機材ということもあるが、自分が購入の第一候補のK100D + DA FISH-EYE 10-17mmF3.5-4.5ED[IF]という組み合わせは発見できず。

カメラ以外の機材とソフトを備忘録としてリストだししておくことにする。

雲台

マルチロウ撮影に必要な雲台メーカー。個人で買えそうなレベルの製品をピックアップした。結構、価格は、まちまちで2万弱〜10万円といったところ。ただ、いろいろ調べた限りでは、写真をつなげるステッチソフトが優秀になってきているようなので、Nodal Ninjaあたりの製品でもいいように思える。

Nodal Ninja
KingPANO
Kaidan
360Precision
Jasper Engineering社 PANO-HEAD
Manfrotto社 303SPH
agnos社 Mrotator


パノラマ画像作成(ステッチ)ソフト


こちらもフリーから10万円越えまである。netOvenさんの記事を読んだ感じでは、PTguiが機能と価格のバランスがかなりよさそう。
PTgui
REALVIZ Stitcher
Autopano Pro
Calico(Mac)
PTMac(Mac)
hugin(Mac)
LM Stitch

DoubleTake
iPIX
番外:
CINEMA 4D + 冨士さん製シーンファイル

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この一覧は、次のエントリーを参照しています: パノラマ画像の作成について覚書:

» パノラマ作成の環境づくりについて from プロ用フリー素材のCreative Market
11th moonの冨士さんに、パノラマ作成についてのとてもためになるコメントを... [詳しくはこちら]

コメント

 こんにちは、最近はパノラマを撮っている冨士です。

 以下、この3年間に私が集めた情報と経験により、いくつかコメントします。


1. デジタルカメラ
 パノラマを撮る場合、カメラはメーカーよりもセンサーの種類で決めるべきです。理由は太陽を撮る機会が多いからです。太陽を撮った場合、原理的な問題からCCDではスミアが起こります。その点CMOSにはスミアがありません。

 現在C-MOSを積んだ一眼レフ式デジタルカメラは少数派で、上記のK-100はCCDです。C-MOSを積んだカメラは、CANONの全機種とNikonのD2Xぐらいです。

 また、ダイナミックレンジもC-MOSの方が広いので、パノラマをHDRI化したいのであれば、その点からもC-MOSにすべきでしょう。

2. レンズ
 パノラマを撮るレンズにはあまり選択肢がありませんが、基本的にズームレンズは避けるべきです。理由はやはり太陽を撮る機会が多いからです。一般的にズームレンズは単焦点レンズに比べて多くのレンズから構成されていて(約2倍)、その結果より多くの明るいリフレクション(レンズ内部で多重反射にした光による像)を発生します。 

 以上、基本的にカメラもレンズも「太陽を撮ってはいけない」という暗黙の了解のうちに作られているので、普通の性能比較やサンプル写真からは分からない注意点です。ちなみに、以前NikonD200でスミアの問題がクローズアップされた時、Nikonは非公式にですが「そういう特殊なもの(つまり太陽)は撮るな」と言ったそうです。

 同時に、ズームレンズは画角を固定できないので、撮影時に生じる誤差もその分増えます。スティッチソフトの宣伝ではどんな画像でも誤差を補正してつなげるように書いてありますが、原理的に「パターンの無い画像(例えば青空)」や、「パターンが常時変化する画像(例えば水面)」や、「パターンが読めない画像(例えば砂利)」などは誰もつなげません。

 まあ、全面パターンがないなら正確につなぐ必要もないのですが、それではそもそも撮る意味がありません。普通は、ある部分にパターンが無くても他の部分に建物等が見えていて、正確につながなければならないものです。

 そういう場合に一番頼りになるのは、その直前に撮ったパノラマです。もし、あるパノラマが正確にスティッチされていて、かつ三脚や架台の精度が高ければ、その直後に撮ったパノラマのスティッチ条件も同じになるはずだからです。つまりパターンに依存する必要がありません。

 このような理由から、私は撮影前に必ずその日のリファレンスとなるパノラマを、新宿の高層ビル街のようなスティッチしやすい場所で撮るようにしています。

3. 架台
 市販されているパノラマ撮影架台の精度はどれも似たようなものです。安いのを買った方がいいでしょう。

 確かに高い架台はいい材料を使って丈夫にできていますが、その分関節が多く、自由度が高くなっているため、それほど精度があがらないのです。毎日カメラやレンズを変えていろんな条件で撮る、というのでなければ自由度の低い安い架台で十分です。

 むしろ、パノラマを撮るときの誤差の大半は三脚とカメラの固定部で生じるので、こちらに投資した方が効果があります。

4. 三脚
 三脚は非常に重要です。特にパノラマの場合は強度や耐久性よりも、「ガタがない」ことが求められます。これも一般的な撮影とは異なる点です。

 一般的には、重いカメラを安定して支えられて、過酷に使っても壊れないのがいい三脚だとされます。そのため余裕を持たせた単純な構造(例えば、マウントにパイプを通して横からねじで締める等)を採用する三脚が多くあります。
 
 普通の撮影はこれで十分なんですが、パノラマの場合後でスティッチする必要があり、前後に撮影した画像との関係が常に一定でなければなりません。したがって、強度的には劣っても、ガタの無い繊細な構造(例えば、マウントに割を入れ、円周方向にパイプを締め付つける等)の三脚を選んだ方がいいです。

 私は以上の理由からGitzoの3型を使っています。架台に投資するよりはこっちに投資した方が絶対にいいいです。

5. カメラの固定法
 もう一つの大きな誤差はカメラ周辺で生じます。これらは次の3つの方法によって、劇的に改善できます。


5a. なるべく軽いカメラとレンズを使う
 当然ながら、同じ三脚と架台なら、カメラとレンズが軽い方が変形や振動は減ります。この点からも、大きく重くなるズームレンズはお勧めできません。

 また、この理由から私はCANON EOS kissDNという軽いカメラを使っています。どうせ多数の画像をスティッチする訳だし、基本機能しか使わないので、D2XやD1sのような高価で重いカメラを使う意味はありません。
 
 また、当然のことですが、カメラは一番軽い状態にして使います。つまりオプションのバッテリーグリッップやストラップなどは全部外します。


5b. あらゆる方法を使ってカメラを架台に固定する。そしてなるべく外さない
 最大の誤差は、カメラを固定する1/4インチねじの部分で発生します。なぜなら、このねじは1個しか無く、この軸周りの角度を決める方法が無いからです。これは個々のカメラの設計以前にカメラの共通仕様が持っている欠陥です。

 この欠点を補うためにカメラ底面にピン穴が空いている場合がありますが、規格化されていませんし、弱いですし、1/4インチネジまでの距離が短いのでほとんど効果がありません。

 普通の写真なら特に問題にすることもありませんが、パノラマの場合致命的なので、なんとかもう一カ所固定しなければなりません。ここで、私がお勧めする一番いい場所は「レンズ先端」です。

 幸いなことに、超口角から魚眼レンズはレンズキャップをつけるために「ビグネッタ」というリングをレンズ先端周囲に追加できるようになっています(ねじ込みではない)。そのビグネッタを追加購入して架台に固定してしまえば、カメラ本体の1/4インチねじとビグネッタでカメラを十分正確に固定できます。

 架台にビグネッタを固定する技術が無ければ、「針金で巻いてエポキシで固定」でもいいのでやってみることをお勧めします。

 また、それでもカメラを一度取り外して取り付け直すと微妙に位置がずれるので、必要がない限りカメラを架台に固定しっぱなしにしておくと、一度作ったスティッチテンプレートを長く使い回せます。

5c. 無線リモコンを使う
 当たり前のことですが、カメラのシャッターを直接手で押せば、その力で架台が変形し、カメラが動きます。普通のケーブルリモコンでもないよりはましですが、逆にケーブルがカメラを引っぱって動かすというケースもよくあるので、無線リモコンをお勧めします。

 私は最初ケーブルリモコンで始めましたが、1ヶ月で無線リモコンに変えました。

6. スティッチングソフト
 私は既製のスティッチングソフトを使ってないので、お勧めはありません。昔一通り試してみましたが、ほとんどのソフトは途中で頭にきてやめました。唯一のお勧めはQuickTimeVRAuthoringStudioでしたが、既に販売中止になっています。また、QTVRASだとCubicVRが作れませんでした。

 3Dソフトが使えて、簡単なプログラムを組める人だったら自作することをお勧めします。HDRI化や、円形など特殊な形状にパノラマを変換する作業も3Dソフト内部で完結できます。またネットワークレンダリングもできて、非常に楽です。

 とにかく、スティッチソフトを選ぶ時によく考えなければならないのは、「できるかできないか」ではなく「どのくらいの品質のパノラマをどのくらいの時間で作れるのか」という点です。

 「できるかできないか」で言うなら、Photoshopでの手修正が前提の世界なんだから何でもできます。曲がった線だって描き直せばいいんです。しかし、1日かけて1枚しか作れないようなソフトだと正直言って続きません。撮影する楽しみやパノラマを見る楽しみよりも、スティッチする苦しみが勝ってしまうんです。

 実は私は1997年にもパノラマを作ったことがあります。この時は、QTVRASを使ってフィルムカメラで作る方法と3Dソフト内部で作る方法の二つを試しましたが、すぐに挫折しました。理由は、得られる成果に対して苦労が大きすぎたからです。

 今回1994年にデジカメと自作の架台、ソフトでパノラマを作り始めてからは、もう3年も続いていますし、仕事にもなっています。理由はいろいろありますが、一番大きいのはやはり「楽にたくさん作れるから」だと思っています。

7. パノラマのHDRI化について
 QT自体がHDRIに対応していないため、まだあまり作られていませんが、パノラマのHDRI化は非常に有効です。理由は、これも太陽を撮る機会が多いからです。

 一般的に、カメラで太陽を撮れば必ず白くつぶれ、逆に暗い部分はつぶれます。これは常識で、だから太陽にカメラを向けてはいけないと言われるのです。しかしパノラマの場合、「向けない」ということは前提に反するし、屋内や曇天、夜間だけに撮影を限るというのはあまりに寂しい話です。

 例えば、一般的に太陽が見えるようなコントラストの高いシーンを修正する場合、ガンマを上げて暗部を持ち上げますが、同時にどんどんノイズも上がってきます。逆にノイズが乗らないように露出を上げて撮影すると、今度は明るい部分がどんどん白くとんでいきます。つまり、太陽が見えるようなシーンでは「撮影しようがない、修正しようがない」という場合がほとんどなのです。

 また修正可能な場合でも、最適な露出と最適な修正が必要とされます。その結果、撮影現場では露出に気を使い、後で何時間もかけて修正することになります。しかし、適正露出と-2段、および-4段絞った3枚の画像を合成すると、ほとんどのシーンが修正可能になります。また、露出は適当、合成は自動なので非常に楽です。

 HDRIとはいっても、私がやっている3枚合成程度では十分な諧調を押さえられません。それでも、上記のように最終的に8btの画像を出すのが目的であれば十分です。言い換えれば、きれいな8bitの画像を得るために、4bit分の「余裕」を持たせる、というのが現在の私がやっているHDRIの本質です。

8. HDRIに付随して、カメラが撮影可能な色深度について
 ほとんどの一眼レフ式デジタルカメラは12bitの画像(RAW)を出力できますが、下の方はノイズだらけなので使えません。まともに使えるのは上から7〜8bitだけです。これに比べて、露出を変えて撮った3枚の8bit画像を合成して作成した12bit画像は、上から下まで全てきれいに使えます。
 
 つまり、同じ12bitでも両者の画質は全く違います。このような理由から、私はRAWは使わず全てJPEGで撮っています。

9. HDRIに付随して、HDRIの合成法について
 露出を変えて撮った複数の画像を合成する、という考え方は大昔からあります(おそらく天文学の中の太陽を研究する分野から始まった)。昔はフィルムでしたから、複数のフィルムに異なったマスクをかけ、多重露光して印画紙に焼き付ける、という手順で合成していました。

 90年代に入ってこの合成作業がコンピュータの中で正確に行われるようになった時についた名前がHDRIです。HDRIの要は「マスク」にあり、どのような露出で撮った画像にどのようなマスクをかければいいか、というのは理論と計算によって一意に求まります。

 しかし私はこの標準的なマスクを使っていません。理由は、標準的なHDRIが「動く物体」を想定していないからです。元々は太陽や空の観測を目的に始まった技術であるため、動く物体を想定する必要が無かったのでしょう。

 しかし、街中などを撮ればそこら中で人と車が動いていますし、雲や水面も細かいながら動いています。このような動くオブジェクトを標準的なHDRIで処理すると「黒い穴」ができてしまうのです。

 ですから、私は人間の見た目で自然な絵ができるようなマスクを自作してHDRIを作っています。こうすると合成された色や明るさが一部不正確になりますが、総合的に絵としてはよくなります。既製のHDRI合成ソフトは全て標準的なマスクを使っていると思うので、その点でもスティッチャーを自作してみる価値があると思います。

宮田です。本当に、詳細なコメントありがとうございます。
カメラを買う直前だったので、本当にありがたかったです。
意見を参考に、もう一度機材を見直します。

パノラマを撮っている者としては、冨士さんの詳細なコメント参考になります。こう言ったコメントが頂けると勉強になります(^0^)

はじめまして、ご紹介に預かりました、QTVR Diaryのにのみやでございます。
孤高のQTVRクリエイター・冨士氏が全てを語られたようなので、ボクはお役無いですね(苦笑)。
総意に於いて冨士氏の意見は賛成です。「パノラママウントより三脚に金かけろ!」はチョッピリ乱暴な言い回しにも思いましたが、確かに一理あります。
ただ、ホビーユースでは「カメラをマウントから外さない」なんてことはちょっと考えられないので、クイックシューなどを使って、出来る限りセッティングを変えない工夫によって、対処するしか無いでしょうね。そうすると最初から精度の高いマウントは必要かもしれません(でも冨士氏の自作マウントの精度はアマチュアには真似できませんけど(笑))。

HDRIに関する記述はボクも目から鱗でした。参考にさせていただきます。
Photomatix+PTGui+Photoshopで手探りで作っていますが、もうちょっとしっかり論文読まなきゃって感じました。

今後とも、どうぞよろしうに(笑

はじめまして、にのみやさん。
QTVRの作成や機材選びの際には、にのみやさんのサイトやあちこちの書き込みはずいぶん参考にさせてもらいました。

ご指摘のとおり、セッティングを使いまわすためにNodalNinjaにクイックシューを付けてやっています。今のところPTGui+PhotoshopでQTVRの作成そのものについては、何とかなっています。

ただ、撮影についてはまだまだ勉強する必要がありますね。これからもよろしくお願いします。

> 「パノラママウントより三脚に金かけろ!」はチョッピリ乱暴な言い回しにも思いましたが、

「機能」としては、もちろん三脚より架台の方が重要ですが、上にも書いてあるように現在市場には「十分な精度をもった架台」が存在しないのです。「303SPH」も「360Precision」も使ってみましたが、単なるオモチャにすぎません。

であれば、ムダなところに投資せず、金で買える機能のほうに投資すべきだ、というのが私の意見です。機能のバランスを考える上で全ての基本になるのは「現在のデジタルカメラ」が生成する画像であり、これの(実質的な)1ピクセルに相当する精度を保証できれば、「その機能(部品)は十分である」といえます。

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まずレンズに関してですが、SIGMAの8mmは既に十分ではありません。これが十分だったのは600万画素の初代EOS KissDまでです。現在ではNikonの10.5mmかSIGMAの15mm以上のレンズが必要です。

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次に架台ですが、上記のようにまともなものが無く、600万画素のカメラにも対応できません。昔の130万画素のカメラで作る320*240pixelのQTVRが限界です。実際のところ、現在市場にある架台の基本形はフィルムカメラやこうした初期のデジタルカメラに対して設計され、そのまま変わっていないのです。

Webを調べると、非常に多くのパノラマ架台がここ数年のうちに開発されています。これはつまり、「デジタルカメラやレンズの高解像度化に伴って、旧来の架台の精度的な欠点が顕著になり、みんな困っている(ニーズがある)」ということを表しています。

と同時に、そのような「新しい要請」によって開発された架台のデザインが「旧来の架台とほとんど変わっていない」、ということに気付いて思わず笑ってしまいます。これはつまり、「どれも使えない」ということを表しているのです。

機械の精度を上げるためにまず最初に考えつくのは、「支持部分を増やす」ということです。重いものは「両手で持つ」というのは子供でも知っていることで、「片手で強く握る」なんて答える子供はいません。ところが現在市場にあるパノラマ架台は、ほとんどが「片手でより強く握る」ことを競っています。また、水平軸の支持とカメラの支持の両方を2点支持にした架台は、私の知る範囲では私の架台しかありません。

私は1994年にアップルのQTVRメーリングリストにこの問題を報告し、図面まで公開していますが、いまだに2点支持の架台は登場しません。これはつまり、「QTVR業界には子供以下の知性の人間しかいない」ということを表していて、「いくら待っても使える架台が市場に登場することはないだろう」という私の諦観の元になっています。

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三脚はGitzoの3型で1000万画素まで十分対応できます。それ以外の三脚は基本的にダメです(全部試してみたわけではありませんが)。ただし、レンズを50mmや105mmに延ばして高解像度化した場合には、3型でも問題が出るかも知れません。とはいっても、普通の人にはこれで十分でしょう。

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最後に画像を合成するソフトですが、これも十分なものがありません。そもそも「いい加減に撮った画像を解析してつなぐ」という時点で原理的な無理があるわけで、十分な精度の架台が存在しない以上、この問題はこれからも解消されないでしょう。

ただし原理的な難しさを除いても、「まともなユーザインターフェイスを持つ」、「ネットワーク上で高速に動作する」といった基本的な部分において、現在市場にあるスティッチソフトは前時代的です。10年経ってもQTVRASを越えるものが出ていません。

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というわけで、デジタルカメラやコンピュータは依然として進化し続けていて、低価格化が進んでいるにもかかわらず、一般的なQTVRの進化(高精細化)はここいらへん(2,000 - 3,000 ピクセルキューブ)で止まると私は思っています。理由は、「解像度の増加に伴ってスティッチの負担が指数関数的に増え、現実問題として作れなくなる」からです。

その点私のソフトはスティッチをせず、単に画像を合成しているだけなので、合成の負担は解像度に比例して増えるだけです。例えば、現在は78枚の合成に約15分かかっていますが、これを1,152枚に増やしても4時間かからずに終わります。1,152枚というのは105mmのレンズに相当するのですが、このぐらいの解像度になるとWebやTVだけでなく、広告や公共事業にも使ってもらえるので、仕事の幅が広がります。というわけで、現在新しい架台の設計をやっています。

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最後に話を元に戻しますが、たとえ1,152枚の画像を合成して128,000*16,000ピクセル(2Gピクセル)のパノラマ画像を作るとしても、カメラはEOS kissDで十分だし、レンズはSIGMAの標準品で十分だし、三脚はGitzoの3型(アルミ製の一番安いやつ)で十分なんです。

確かに私は架台と合成ソフトを自作していますが、金で買えるものは普通に買います。しかも必要最低限の安い部品を使います。しかし、その安い部品にさえ釣り合う架台やソフトが存在しないので、仕方なく自作しているだけなのです。

これに対して、EOS 5Dのような高価なカメラに高価なNikonのレンズを無理に組み合わせ、それを360Precisionのようなオモチャに付けて撮影し、PTGUIのような欠陥ソフトでスティッチして「うまくいかない」と嘆いている人を見ると、「ボトルネック」とか「選択と集中」という言葉の持つ意味について改めて考えずにはいられません。

 先日105mmレンズを使って実際にHDRIパノラマを作ってみました。撮影枚数は合計で1,152枚になりましたが、予想通りの時間で作成できました。以下、英文混じりですが報告です。

 なお、今回のテストは現行のVRcam2システムを無理やり改造して行ったので、合成の精度は低いです。また、Luca Vasconという人が「PTGUIでも1,152枚ぐらい簡単にスティッチできる」といって挑戦しているようですが、その後何の音さたもありません。最低でも10年ぐらいは待たないとできないでしょう。

--- 1,152枚の元画像
http://www.11moon.com/QuickTimeVR/VRcam3/first_test/

--- 撮影データ
垂直, 6 shots, each 8.0 degrees.
水平, 64 shots, each 5.625 degrees.
露出, 3 shots, 0:-2EV:+2EV
合計 1,152 shots

絞り, F16
シャッター速度, 1/160 sec
ASA, 100

カメラ, CANON EOS D350
レンズ, SIGMA 105mm macro
架台, custom (VRcam2)

場所、新宿東急ハンズ前
日付, May 24 2007

--- 合成
コンピュータ, PentiumD 2.8GHz, 2GB, WindowsXP
合成ソフト, custom on CINEMA4D R9.1

--- パノラマ画像(QTVRには変換できず。現行合成ソフトの制限から目標解像度の半分である64,000*10,000 ピクセルで作成、さらに、JPEG圧縮するために4分割、各画像約10MB)
http://www.11moon.com/QuickTimeVR/VRcam3/first_test/part1s.jpg
http://www.11moon.com/QuickTimeVR/VRcam3/first_test/part2s.jpg
http://www.11moon.com/QuickTimeVR/VRcam3/first_test/part3s.jpg
http://www.11moon.com/QuickTimeVR/VRcam3/first_test/part4s.jpg

1/10サイズのプレビューQTVR (800KB)
http://www.11moon.com/QuickTimeVR/VRcam3/first_test/1_10preview.mov

オリジナル画像の一部 (640*480 pixel)
http://www.11moon.com/QuickTimeVR/VRcam3/first_test/close_up.jpg

--- 作業時間
1. 架台の改造(45度単位のスナップを外しただけ)、 1時間
2. 1,152枚の画像の撮影、1時間
3. 合成ソフトの改造、6時間
4. 1,152枚の画像を並べて、可能な限りズレを修正するのにかかった時間、6時間
5. 1,152枚をレンダリングするのにかかった時間、4時間

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